大阪地方裁判所 平成2年(わ)2163号 決定 1992年5月29日
本店所在地
大阪市阿倍野区阪南町一丁目四三番七号
第一農林株式会社
右代表者代表取締役
森長常雄
主文
被告会社第一農林株式会社に対する公訴を棄却する。
理由
被告人第一農林株式会社(以下「第一農林」と略す。)は、大阪市阿倍野区阪南町一丁目四三番七号に本店を置き、不動産売買業等を営んでいるもの、被告人大谷興産株式会社(以下「大谷興産」と略す。)は、大阪市中央区備後町三丁目二番八号に本店を置き、不動産売買業等を営んでいるもの、被告人大農建設株式会社(昭和六三年二月五日付けの社名変更前は、大農株式会社。以下「大農建設」と略す。)は、大阪府東大阪市足代一丁目一二番一四号に本店を置き、不動産売買業等を営んでいるもの、被告人柳川博嗣こと梁廣相は、右第一農林の代表取締役であり、右大谷興産及び大農建設の実質的経営者として、右各社の業務全般を統括しているものであるが、被告人柳川博嗣こと梁廣相は
第一被告人第一農林の業務に関し、法人税を免れようと企て
一 昭和六一年四月一日から同六二年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が四四、五九五、二四七円、課税土地譲渡利益金額は二九、六二九、〇〇〇円で、これに対する法人税額が二二、八〇八、三〇〇円であるにもかかわらず、架空の販売手数料を計上するなどの行為により、その所得の一部と課税土地譲渡利益金額のすべてを秘匿した上、同六二年五月二五日、大阪市阿倍野区三明町二丁目一〇番二九号所在の所轄阿倍野税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が七、六〇七、七四七円で、課税土地譲渡利益金額はなく、これに対する法人税額が九一五、一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税二一、八九三、二〇〇円を免れ
二 同六二年四月一日から同六三年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が五六〇、六四九、六〇三円、課税土地譲渡利益金額は四九七、七八七、〇〇〇円で、これに対する法人税額が三四六、九三四、〇〇〇円であるにもかかわらず、不動産売買における仕入金額の水増、あるいは売上金額の圧縮等の行為により、その所得の一部と課税土地譲渡利益金額の一部を秘匿した上、同六三年五月三一日、前記阿倍野税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の欠損金額が一二、八九九、三五二円、課税土地譲渡利益金額が一三七、九五四、〇〇〇円で、これに対する法人税額が二四、一一五、一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税三二二、八一八、九〇〇円を免れ
三 同六三年四月一日から平成元年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が一四六、〇六一、一六三円で、これに対する法人税額が一三二、三六二、一〇〇円であるにもかかわらず、架空の貸倒損失を計上するなどの行為により、その所得の一部を秘匿した上、平成元年五月三一日、前記阿倍野税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が八一、四一八、七二三円で、これに対する法人税額が一一八、五八六、三〇〇円(ただし、期限内申告所得金額に対応する土地重課税額八九、〇九二、五〇〇円を申告税額とみなして加算した。)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税一三、七七五、八〇〇円を免れ
第二被告人大谷興産の業務に関し、法人税を免れようと企て
一 同六一年一一月一日から同六二年一〇月三一日までの事業年度において、その所得金額が三五五、七三七、一一六円、課税土地譲渡利益金額は二七〇、六一七、〇〇〇円で、これに対する法人税額が二〇一、〇六五、七〇〇円であるにもかかわらず、前掲第一の二記載と同様の行為により、その所得の一部と課税土地譲渡利益金額のすべてを秘匿した上、同六二年一二月二八日、大阪市中央区大手前一丁目五番六三号(旧東区大手前之町一番地)所在の所轄東税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が六三、三二〇、一六九円、課税土地譲渡利益金額はなく、これに対する法人税額が二五、一四八、六〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税一七五、九一七、一〇〇円を免れ
二 同六二年一一月一日から同六三年一〇月三一日までの事業年度において、その所得金額が二四八、四九八、八一二円、課税土地譲渡利益金額は二一〇、二七一、〇〇〇円で、これに対する法人税額が一六三、六九七、五〇〇円であるにもかかわらず、仕入金額を水増するなどの行為により、その所得の一部と課税土地譲渡利益金額のすべてを秘匿した上、同六三年一二月二七日、前記東税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一四、三九三、三七六円で課税土地譲渡利益金額はなく、これに対する法人税額が二、二九二、一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税一六一、四〇五、四〇〇円を免れ
第三被告人大農建設の業務に関し、法人税を免れようと企て
一 同六一年一月一日から同六一年一二月三一日までの事業年度において、その所得金額が一三、〇五七、五八三円で、これに対する法人税額が四、五四二、一〇〇円であるにもかかわらず、売上金額の一部を除外するなどの行為により、その所得の一部を秘匿した上、同六二年二月一六日、大阪府東大阪市永和二丁目三番八号所在の所轄東大阪税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二、七三九、一三三円で、これに対する法人税額が七二一、五〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税三、八二〇、六〇〇円を免れ
二 同六二年一月一日から同六二年一二月三一日までの事業年度において、その所得金額が六七五、三一四、一三二円、課税土地譲渡利益金額は五七八、六二八、〇〇〇円で、これに対する法人税額が四一四、四一四、五〇〇円であるにもかかわらず、前掲第一の二記載と同様の行為により、その所得の一部と課税土地譲渡利益金額の一部を秘匿した上、同六三年二月二九日、前記東大阪税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一七五、四八〇、〇三三円で課税土地譲渡利益金額が一一七、六四二、〇〇〇円(ただし、申告書は誤って七六、四四三、〇〇〇円と記載。)でこれに対する法人税額が九五、七七三、〇〇〇円(ただし、申告書は誤って八七、五三三、二〇〇円と記載。)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税三一八、六四一、五〇〇円を免れ
たものである。
大阪法務局登記官作成の被告会社の平成三年一〇月二五日付閉鎖登記簿謄本、同法務局登記官作成の第一農林株式会社の同日付登記簿謄本、同年七月二三日付合併契約書によると、被告会社は、同年一〇月二二日合併により解散したことが認められる。
そこで、刑訴法三三九条一項四号により、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 田中正人 裁判官 福井一郎 裁判官 平島正道)